2023年も残り1ヶ月を切った

30代のころはほぼ毎日ブログを書いていたのに、なんというていたらく。

2021年もちょびっとしか書けていない。

あれからいろいろなことがあって、私は全身麻酔で手術するわ、チャーコは彼岸に行っちゃうわ、阪神タイガースは優勝するわ、日本一になるわで、あっという間に2023年も終りを迎えていた。

 

『法医昆虫学捜査官』川瀬七緒著/講談社文庫刊

表紙の“西村京太郎”感からイヤな予感がしたのだけれど、“法医昆虫学”にひかれて、図書館で借りた。面白かった。借りてみて良かった。

あらすじが一直線でなく、単なる放火事件と思っていたものが、カウンセラーの依存問題やら、ナチュラル志向の行き過ぎ問題やらがからんで、あっちに行ったり、こっちに行ったり。一つ一つの仮説をつぶしていく過程が、まさに警察小説。

当初から思いもよらなかった地点に着地。

カタルシスはないけれど、夜、寝る前に少しずつ読んでいくのにちょうどよかった。

続巻も借りてみよう。

 

『R帝国』中村文則著/中公文庫刊

中村文則は腰を据えて読み続けていかなければならないと勝手に思ったので、図書館で借りる。

あまりにあからさまに人や事象が描かれる。

これってあの人じゃん! これってあの党でしょ? この国ってあの国のこと?

比喩が比喩として機能してないようなフィクションに最初のうちは鼻白んだ。

でも、読んでいくうちにどんどん息苦しくなっていく。つらい。

「この世界の幸せは1人の少女が虐げられていることからなっている」という寓話がある。その幸せは認められるべきなのだろうか。それを是とすることは難しいかもしれない。少女の姿はあまりに可哀想だからだ。

では、少女だけでなく男も大人も合わせて1億人の人が支えているのならどうだろう。被害の数は1億倍になるのに、幸せを享受することの罪悪感は減る。

小説中に、鈴木タミラが書いた文章が鋭すぎて、考えるのを放棄したくなる。

あとがきに、2016年連載のものだが、2020年(文庫発行時)でも「今、書かれたもののようだ」と感じる、とある。2023年でもおんなじだ。

“誰か僕達を助けてくれ。”最後の一文がズシッと響いた。

 

『箪笥』2003年/韓国映画

ホラーで、サスペンスで、ミステリー……とわかっていても、家族の関係性がわからずじれったい時間が続く。

最後の15分くらいでやっと、「ん? そういうことなの?」とおぼろげにわかる。

わかった途端に、急にホラーになっておしまい。

難解というか、あえて幻想と現実の狭間を曖昧にしているんだと、最後まで見ればわかる。

とはいえ、ミステリー好きの脳では、「実はこいつは……なんじゃないの?」「あぁ、これってあのパターンかな?」などと推理が忙しい。結局、あのパターンとあれを一緒にしていて、複合技だったから、難解だったのだなぁ。

少女たちのお洋服や家の意匠がところどころポップにも見えて楽しかった。

 

朝 マヨネーズかけトースト アールグレイティー

昼 高菜と卵の焼き飯 もやしとわかめのラーメン汁風スープ